アンダークラスとはパート主婦や有期契約の専門職や管理職を除いた非正規雇用労働者をさします。
その数は928万7000人(2012年就業構造基本調査)に上り、就業人口の14.9%に当たります。
平均年収は186万円で、貧困率は38.7%と高く、特に女性の貧困率はほぼ50%に達しているといわれています。
非正規雇用で働くと正社員になるのが難しくなりその結果、労働条件が低賃金・不安定のまま、一生を通じて非正規雇用で働く人たちが激増。
こうした人たちが新しい下層階級、「アンダークラス」を形成し始めていると考えます。
階級 | 人数 | 週平均労働時間 | 個人年収 | 貧困率 | 生活に満足している人の比率 | |
1 | 資本家階級 | 254万 | 45.1時間 | 604万 | 4.2% | 45.1% |
2 | 新中間階級 | 1285万 | 43.4時間 | 499万 | 2.6% | 36.3% |
3 | 正規労働者 | 2192万 | 44.5時間 | 370万 | 7.0% | 35.6% |
4 | 旧中間階級 | 806万 | 40.6時間 | 303万 | 17.2% | 32.5% |
5 | アンダークラス | 929万 | 36.3時間 | 186万 | 17.2% | 17.2% |
こうやって比較すると、アンダークラスと旧中間階級の週平均労働時間と個人年収の比率が大きすぎますね。
わずかな差が個人年収では大きな差となっています。1日8時間週5日のフルタイムより少し短いだけで過半数は週40時間以上働いています。
未婚率も高くなっています。アンダークラスの男性の未婚率は66.4%にまで達しています。
一方、女性の未婚率は56.1%単独の生活はできても、生活設計はできないので結婚する人は減る方向に。
新中間階級や労働者階級の子どもたちがアンダークラスに転落。階級の上昇は難しい一方で、下降移動は相当程度起きているのが現状。この構図はどんどん強くなっていくと予想される。
「自己責任論」が強まると、所得再分配が難しくなります。2016年首都圏調査では、「貧困になったのは努力しなかったからだ」という質問に対して資本家階級は「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計が47.1%に上りました。対してアンダークラスでは、37.3%という結果に。
経済成長率が低下。
格差が拡大すると所得の高い人の所得はますます高くなり、所得の低い人の所得はますます低くなります。
高所得者は消費性向が低く、得た所得を貯蓄などに回して消費をしない一方、低所得者は消費性向が高く、得た所得の大部分を消費に回します。
数が多い低所得者層の所得が減れば、それだけ全体の消費が減り、景気が冷え込むというわけです。
アンダークラスの記事は多数ありよく次のような言葉を目にします。企業は新卒者には教育をしますが、中途採用や非正規の人には教育をしない。
だから、いつまでたっても能力がつかず、(アンダークラスから)抜け出せない
しかし、これは今に始まったことなのでしょうか?
アンダークラスから抜け出せない要因があるといわれています。
実際にアンダークラスから抜け出した人の例をあげてみましょう。
①無駄な支出が少ない
②労働形態に拘らず非正規でも条件がずば抜けて高い会社で働いている。
③働きながら常にスキルアップのための勉強をしている
④一般常識があり暴言を吐かず辛抱強い。他責ではなく自責。
⑤柔軟な考え方を持ち謙虚な姿勢
個人的には②を意識している人ほどアンダークラスを抜け出しています。非正規でも条件次第では正規労働者の年収を超えます。
企業によっては定年まで居てほしいと願う企業もあるため49~51歳で入社し、定着している人も少なくありません。
個人年収は正規労働者を上回るため生活設計ができるようになります。